日々うたかた

双極性障害の女

2020-03-16 『ロリータ』を読んだ

『ロリータ』を読み終えました。

ロリータ (新潮文庫)

ロリータ (新潮文庫)

第一部がよかったです。ニンフェットへの偏執、性的倒錯、そういうものがしつこく描かれていて、気味が悪いくらいよかった。
第二部に関しては、後半、拳銃で誰を殺すのかずっと気になっていたのですが、結末は「そっか」って感じでした。「ロリータ」という神のような存在を崇拝し、犯し、愛し、そして身を滅ぼしていく小説としては妥当な終わり方だし、そうでなければ成り立たないのだろうな、と思いました。
一読者として、ロリータを殺してなお生き延びて法廷にいるハンバート氏を見てみたかったのはあるし、それとはまた別で心中する終わりとか、あ、情死の果てにハンバート氏だけ生き残るのはおもしろいかもしれない、いや、でもそういう小説ではないので。
気が向いたら第一部だけ読み返してみようかなと思います。

文学は読み解くためだけのものではない、というのが最近のわたしの考えで、ただ味わったり、好きな一節だけを取り出して眺めたり、そういう楽しみ方もよいなあと思うのです。物語のすべてが意図して描かれていたとして、その上で、その蜘蛛の巣のなかでゆらゆら揺られるような読み方もいいと思います。
どんなに緻密な計算が為されて書かれた物語であっても、筆の向くままに書かれた物語であっても、解読する・しないは我々読者の自由だと思うのです。オートマティスムで書かれた物語を、わざわざその文節まで解剖して詳らかに解読するようなやり方だって、気味は悪いけどおもしろそうです。

(私信)そういえば、意識や意図に関しての前提知識を持ち合わせていないので、知識の擦り合わせを望みます。気が向いたらお願いします。