日々うたかた

双極性障害の女

2020-07-24 立ち仕事を膝に受けてしまった

ぜんぜん寝付けそうにないので、久しぶりに書いてみます。

最近はバイトに精を出す日々です。といっても、週に3日の出勤なので、体力的にも無理なく働けています。仕事内容もとても自分に合っていて、楽しいな、と思いながら商品整理などをしています。

先日、送ってもらった『タコの心身問題』を読みました。

最近動物愛護関連の話を聞くことがあって、なんとも言えない気持ちです。餌も治療も最低限しか受けられない繁殖犬とか、海外で犬猫を食べる際に撲殺しているらしい話とか。「痛い」「怖い」のように感じる生き物を屠殺するなら、なるべく苦しくない方法を取るべきなのだろうな、と思います。知能が高いと言われる動物を、なかなか食そうとはしないのも、こういった憐みのような感情からくるのかもしれません。
では、タコやイカについてはどうだろう、とすこし考えてみます。彼らも痛さや怖さに似た感覚を持っているとするなら……。タコたちは切られてもうにょうにょっと動くではないですか、しかもそれが皿の上だったり。痛さを感じるなら、いつまで「意識」と呼べるはたらきは行われているのでしょう。お皿の上で、実はとても苦しんでいた……とかいうことだと、もうどうしていいか分からないです。われわれは野蛮な生き物だった…。

本を読んでいて、「うわ〜タコ食べれなくなっちゃうな〜」なんて気軽に思ってしまい、そしてその思いに違和感を抱いたときがありました。鶏も豚も生きていて、いろんな工程を経て食卓に届きます。タコだって同じように生きていて、食卓まで届くのです。その点においてはなんの違いもありません。「いのち」と呼べるものがあるなら、われわれはそれをいただいています。それだけの話です。
ただ、「食べれなくなっちゃう」という思いは、「賢さ」というより、タコが多感であった、そのことに起因するように思います。さまざまに痛みも好奇心も抱く生き物をバッサリ殺して食べる行為に、引け目のようなものを感じたのだと思います。
それにしたって、やっぱり豚や牛だって「多感な」生き物です。
自分自身の、食事への慣れからくる不感、そして偽善、このふたつを今つよく感じています。認識を改めても改めなくても明日にはまたお肉をいただくのですが、魚だって切り身のまま海を漂っているわけではありませんから、生産者の方々や、屠殺など精肉過程に関わってくださっている方々へ、ふと思いを馳せるように意識できたらな、と思います。わたしが、そうでありたいと思うから。余裕があれば書籍なども探してみたいです。図書館も利用できそうですし。

本の内容では、タコは皮膚に光を感じる細胞を持っているらしい、というところがとても印象的で、惹かれました。目以外のもので視覚情報を得るのは、どんな心地がするのでしょう。

タコやイカの「思考」「感情」は、人間のそれとは大きく違っているようです。でも、タコに限らず、わたしたちって結局皮膚に覆われて一個体として存在していて、他人と物理的にも心理的にも融合なんてできないじゃないですか。「同じ人間」なんていうけど、事実「同じ」人間は存在していなくて、共通言語にだって、人間が使えば、そのひとの恣意が多分に含まれているはずです。わたしが先程述べた「一個体として存在していて」というフレーズも、わたしが込めた意味(があったとして、)を読者のみなさんが寸分の狂いなく正確に読み取る・読み解くことは、恐らく不可能です。
人間誰しもが持っているものというのに、経験と、過去の記憶が挙げられると思います。われわれは過去で出来ている、そんなふうに言うことも出来るのではないかな、とわたしは思います。ひとりひとり違った毎日を過ごしていて、同じ空を見ても違うことを考えたり感じたりするわけです。その積み重ねが結晶化したもの、それが「言葉」ではないかな、と思います。言葉の裏にひそむ文脈を探るのが、わたしは好きです。正しく読み取れることのほうがすくない気もしますが、それでも、ひとりひとりの差異が好きです。みんなちがってみんな良いかは知らないけど、ひとりぼっちたちが集まって、違う人間ながらも集団で一緒のときを過ごす、その世界って、すごくやさしい気がします。

分かり合えることは、きっと素敵なことだけど、発された言葉を誤解なく正確に分かってしまったら、きっとつまらないんじゃないかな。全知の生き物なら、好奇心なんて無いでしょうから。
分からないから知りたくなる、この気持ちを大切にしたいな、などと思います。世の中は誤解という潤滑油で回っているのかもしれないですね。

ところで、しゃべるエレベーターってありますよね。目的階に着いたら「○階です」ってお知らせしてくれるタイプの。あれが5階に着いたとき、アナウンスが「誤解です」に聞こえて仕方なくなる魔法を、今みなさんにかけました。わっはっは。